香港 Day2:香港探策 by Tomoco

起きた瞬間からクリエイションが始まるのが滞在制作のいいところ。

部屋で優雅にお茶を飲みながら、昨日の積み残し作業。

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9:45am 本日のアクティビティ開始。

まずは中環の蓮香楼へ。百年以上続く茶館(飲茶の場所)。惜しくも今月末で閉店してしまうということで、いつもに増して人がたくさん。朝10時の時点で満席。昔ながらのスタイルで、飲茶を載せたカートが店内をめぐります。ローカルで親しみやすい味。おじさんたちが新聞片手にお茶を飲む。こういうお店がなくなってしまうのは本当に残念。

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蒸籠を持って喜ぶ阿児ちゃん

点心の後、2月26日のプレゼンテーションの場所へ。香港ダンスカンパニー(HKDC)の本拠地へ。8/F(その名の通り8階=日本の9階にあります)大きなダンススタジオです。宮古島以来、6人全員が集まり、今回のクリエイションの方向性を少しずつ探ります。“再会”は不思議と人の距離を近くする。宮古島から2か月半の間に何をどうこの滞在に持ち込むか。それが少しずつ明らかになっていく面白いプロセス。時間は限られている。でも決めることを目指さずに、浮遊を楽しみながら、それでも明らかに以前よりも踏み込む部分が多くなっているのが心地よかったり。

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宮古島以来の全員集合

朝の土砂降りから一転、すっきり晴れた香港は暑いくらい。中環の港まで歩き、そこから坪洲島までフェリーに乗る。映像作家の玄宇民さんの紹介もあり、今回の滞在ではぜひ訪れたいと思っていたところ。何もないローカルなところに行きたいということで、さっそく今日行ってみることに。聞いていたのは、とにかく“椅子があって、そこに人が座っている”島だということ。で、行ってみると、本当にその通り。そこかしこに椅子。海沿いに椅子。木の下にも椅子。市場のすぐ外の冷気が届くエリアにも椅子。そして、とにかく人が座っている。集まって喋っていたり、香港版の将棋(?)をしている人もいる。釣りをしたり、椅子のすぐそばの健康器具を使って運動している人もいる。でも、とにかく座っている人もいる。座って、風を感じて、鳥の声を聴くと、もうそれだけでいい(スティーブ談)みたい。ふと、池間島で見た“池間島サミット”を思い出す。人々が家からふらりと出てきて、共に座ってたわいもない(だろう)話をする。こういう光景、東京ではどこにあるかな? 朝の茶館もしかり。ここで交わされる会話が、過ごされる時が、どんなに大切なことかしら。

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きっと誰かの指定席

坪洲島にいる間、他にも宮古でみたいろいろな風景を思い出す。伊良部島のライトエメラルドグリーンの家、大神島にいたおじいさんみたいな狐みたいな犬(阿児ちゃん命名)。廃墟と化している私有地。この島でも“水”が大事なものであることが想像できる。海の色はまったく違う。でも、風の感じは少し似ている。遠くに見える景色はまったく違う。すぐそこ地価の高い高層ビルのエリアが見える。宮古島では海の向こうから神様が来るとうなずけたけど、ここではただただ時間の隔たりを感じる。

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そういえば坪洲島のローカルなご飯屋さんで、揚げた豆腐にかけるソースをうっかり倒してこぼしてしまいました。“Act of God creating an island!”by塚原さん。

今、香港政府は海を埋め立てて人口の島をつくる計画をしていると帰りのフェリーで聞いた。なんだかこの2つが生々しくつながってしまった。なんだろう。

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香港島に戻り、さらにスターフェリーで九龍半島へ。先月オープンしたばかりのXi-Qu Centre(戯曲中心)へ。中国の地方劇、主に粤劇(広東オペラ)を上演する劇場。今日はBoさんがアクロバットの場面に出演。久しぶりに客席から見る粤劇。セリフまわしの上手な役者さんを見ているのがおもしろい。広東語はもちろんわからないけど、かなりアドリブというか現代の言い回しが入っていたりするようで客席も沸いている。ちなみに客席がおばちゃんが圧倒的に多い。気のせいかもしれないけど、以前よりも芝居のテンポが早く感じられた。時代に合わせた変化のようにも思うけど、どうだろう? 私見ですが、中国の地方劇のなかでも粤劇は農村歌舞伎のように地域で受け継がれてきた色合いが濃いように思う。今日みたものはもちろんプロとして活躍している方々だけど、それでもなんだか劇場で格式張ってみるよりも、焼売や魚丸子を食べながら、ビールを飲みながら、あーだこーだとお喋りしながら見るもの。その中で育まれてきた自分たちの物語への愛情だったり、葛藤だったり。

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戯曲中心

長い一日の締めくくりは、お粥の入った魚介鍋。蛤(?)に始まり、マテ貝、鮑、なんかわからん巨大な貝、蝦、蟹、魚、蝦のつくね、魚のつくね、魚丸子、鳥、魚皮、揚げパン。全部の出汁が染み入ったお粥にしいたけとカボチャが入って。。。長い1日の終わり。あー、美味しかった。

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鮑もひとりひとつ

佐敦(ジョルダン)からMTRに乗って銅鑼湾(コズウェイベイ)。さらにトラムに乗ること5分。V54に到着。

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長い1日の終わり



 

主催:NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク

平成30年度文化庁アーティスト・イン・レジデンス活動支援事業