くつ/くとぅ/ことば/靴のはなし
滞在最終日のプレゼンテーション。
クリエイションの入り口に立つためのプレゼンテーションで、何をするか。
原点に戻ろう。
「伝える」こと。
私は何者で、何を考え、何をするために、今、ここにいるのか。
それを文字どおち「ことばを借りて伝えてみよう」と思った。
宮古島のことばを集めた本を片手に、“みゃーくふつ作文”。与那城美和さんに添削して発音を教えていただいた。
ばあやあ ばがふつぅどぅ ばがくとぅぼうどぅとぅみうぅ
(私は私のことばを探しています)
ばが つかいうぅ ふっつぁ(くとぅばや)のーしぬむぬがら ばぬんなっさいん
(私は私のことばがどんな形をしているのかわかりません)
ばんたぁ ばんたがふつぅくとぅぼー ばっしにゃーん
(私たちは私たちのことばを忘れてしまいました)
ぬくりうぅ むぬがもーぴすい あつみってぃ ばんたがふっつぅ くとぅぼー つっふぁでぃてぃ うむいうぅ
(残されたことばのかけらを拾い集め、私たちはあたらしいことばをつくります)
たった4行のこのことばを話すことが本当に大変だった。
覚えるのが大変というよりも、そのことばが体を通って発話されることがこんなにも大変なことだっただろうか。宮古島博物館でみた入れ墨にあこがれて、ことばを体に書きつけてみたけれど、それでもことばたちは私から剥がれていく。
きゅうや うぐなぁい ふぃーさまい たんでぃがーたんでぃ
(今日はみなさまお越しいただき、本当にありがとうございました)
ぜったいに忘れないと思った感謝の言葉さえ、頭が真っ白になり出てこない。
ことばを忘れて、本物のパニック。頭が完全にハテナマークになったとき、
いらしていたオジイたち、お世話になったコーディネーターの方々が「ふぃーさまい」と教えてくれた。ことばを手渡された。
終わって、残ってくださったおじさんに「くつの話をしてたね」。
「くつ」=「くとぅ(ことば)」だろうか。それとも「くつ」=「靴」だろうか。
もしかしたら、靴の話かもしれない。
塚原さんがつくった長い長い糸電話;塚原さんが車の中で話すことばをボーさんがみなさんに伝える時には、まったく違う言葉になっている。
スティーブが教えてくれたカポエラの歌;自分たちの過去を忘れないために歌い継ぐ物語。
フェイが感じたかもしれない単純化された物語への嫌気;ノスタルジックにせず現在を語ること。
阿児ちゃんのことばの足りない物語り;消失していることばの居場所にはまるピースがあるのか。
小学校でのワークショップのためにつくった海を越えて交流する島のゲーム;自分の文化を伝えるのが上手な島、守るのが上手な島、人の増えた島、減った島、海をただよう人。
島と島をつなぐ橋。橋をわたる人、もの、ことば、エネルギー。そこから起こる変化。
受けとり、形をかえて、手渡す「翻訳者」。
何を受け取り、何を手渡すのか。
香港につづく。。。