日の出 by Tomoco

2週間の滞在のほぼ終わり、朝日を見に歩いて海辺へ。展望台から日の出を臨む。空も海も、即興で色が変わっていく。何色と表現することも難しい。刻々と変わる。太陽が海の端にまだ沈んでいるころ、水色の空に浮かぶ赤い雲、その日の雲はひつじ雲かな? 完全にターナーの油彩の世界。もちろん、ターナーの方が世界を真似したんだと思いますけど。何枚も何枚も絵が仕上がり形を変えていく。橙の卵の黄身のような太陽がついに海から顔を出す。あまりの温かさに思わず「わぁ」と声が出た。とろけそうな黄身がじわりじわりとのぼっていく。すると今度は、海が色づきはじめる。さっきまで静かに沈んでいた海が、どんどん咲き始めた。

日が昇りきり、物見台を下ると、2人のおばあに会った。友利地区出身のおばあ2人。沖縄本島にお嫁にいったそうだけど、1カ月に1度くらいのペースで帰ってくるとか。このマリンガーデンの一帯が海浜公園よろしく埋め立てられたことにより、砂がなくなり海が浅くなり濁ってしまった、と話を聞く。おばあたちが小さいころは岩にはムール貝がびっしり生えていてよく採っていたとか、運動会の時には海岸の砂を小学校に運んでかけっこしたとか。大きな時間の流れが小さな時間の流れで分断されている。この小さな時間がやらかした変化は、大きな時間の命取りなのか、それとも大きな時間はそんなことには負けじといるのか。

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主催:NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク

平成30年度文化庁アーティスト・イン・レジデンス活動支援事業