Day8 by Tomoco

宮古島のことばにすっかり魅了されている。

宮古にはオトーリ(御通り)という乾杯方法がある。

私たちが滞在している友里(トモリ)という集落は、宮古の中でも特に酒飲みのエリアだそうですが、地域の飲み会にお邪魔させていただくと、オトーリが回ってくる。

親が盃をもって感謝の口上を述べ、その感謝の気持ちを座に集まっている人たちに回していくもので、まあ、何度も何度も水割りの泡盛をいただくことになるわけです。

昨日の交流会では、私たちもオトーリを回させていいただき、そして宮古島のことばの複雑さに本当にびっくりしました。

 

ひとりめ「ありがとうは宮古のことばでは「たんでぃがーたんでぃ」」

ふたりめ「たんでぃがーたんでぃは、赦しを乞うという意味があるから、ここではだめよ。いまはまいふかでいいさ」

さんにんめ「まいふかは今はつかわんわけ。××××≒飲んででいいよ」

よにんめ「××××はだめ、目上の人には〇〇〇〇ね」

ごにんめ「〇〇〇〇じゃなくて、△△△△ね」

 

とかなんとか、おひとりおひとりと話していると、オトーリ回すのに時間がかかって、「遅い!」と怒られる。

友里という集落の中でも、微妙にことばが違うという。もともと宮古のことばは書くことができなかったというから(後になってひらがなをもちいて表記する方法を作ったが、「す」に「゜」のつくような音もあるし、ドイツ語のような発声の音もある)、辞書のような機能をするものが長いこと存在していなくて、定まった用例のないことばなのでしょう。

 

本当に必要とされて話されてきたことばというのはこういうものなのかもしれないと思います。まるで、ひとつの言語が生まれている瞬間に立ち会っているような感動。

オジーたちは宮古のことばと日本語とを自由にあやつり、その時その時で必要なことばを瞬間的に選び取って話している。スーパーかっこいい。ことばが踊っている。

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各テーブルに配置されるためにとってある大量の泡盛の一升瓶。左手に一升瓶、右手に盃を持ち、オトーリまわします。。。

主催:NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク

平成30年度文化庁アーティスト・イン・レジデンス活動支援事業